看護師歴10年以上、緩和ケア病棟でも3年勤務歴があるトキです。
緩和ケアと聞くと、終末期をイメージして重たいと感じる方が多いと思います。
私自身看護師をしていても、そう感じることは多かったです。
実際に働いていろいろな方と接する中で、介入の必要性について学びました。
向き合い方を知れば、視野が広がると感じています。
暗いイメージだった思いは、安心や希望など暖かいイメージに変わっています。
緩和ケア病棟は、終末期を迎えた方の療養先でもありますが、それまでをどう治療し過ごしてきたかの終着点です。
ここでは、治療内容など医療的なことではなく、介入の必要性やケア内容など、基本的なことをまとめていこうと思います。
こんな方に読んでほしい!
- 緩和ケアのケアについて知りたい方
- 緩和ケアに暗いイメージを持っている方
- 緩和ケアの看護について知りたい方
- 緩和ケア病棟への転職を考えている方
緩和ケアの看護師について知りたい方はこちらもおすすめ!
緩和ケアとは?
病気による苦痛を軽減する事で、身体的・精神的な負担を減らす事がケアの目的です。
医師や看護師だけでなく、様々な業種が関わりチームで動いています。
緩和ケアの対象者は、がんと診断された人全ての方です。
現時点(R6,4月)では、がんと後天性免疫不全症候群(HIV)の方のみが対象とされています。
国によって基準が違い、がん以外にも心不全や慢性呼吸不全、神経疾患なども含まれる国もあれば、疾患関係なく余命半年と診断された方を対象に介入している国もあります。
日本では、緩和ケアは1970年ごろから実施されるようになったケアですが、大きく動きがあったのは1990年で、医療制度に組み込まれたことがきっかけです。それからも、診療報酬の見直しや「がん対策基本法」ができるなど、普及活動が進められてきました。
色々な対策は行われてきましたが、『緩和ケア=治療が終了した最期の状態』を想像する方は少なくありません。
近年になり、緩和ケア外来を設置する病院も増えてきており、早い段階からケアできる体制が整えられてきました。
緩和ケア分野はまだまだ発展中です。
だからと言って、不十分な訳ではありません!
緩和ケアは何をするの?
緩和ケアの定義
- ケアの対象は生命を脅かす状態を抱える患者とその家族
- 身体的、心理的、社会的、スピリチュアルな問題などを早期に発見・評価して対応をする
- その人らしく療養できるように支援する
- 生活の質を向上させることで、治療や療養に良い影響をもたらすと考えられている
ケア内容
- 病気についての説明と治療の提案、意思決定の援助
- 適切な疼痛コントロール
- 症状コントロール
(食事・睡眠・排泄・倦怠感などその他にも患者が苦痛と感じること) - 対象者の社会的背景を理解し、個人に合わせた療養方法の検討
- メンタルケア
患者だけでなくその家族も支援の対象者と考えられています。
患者の社会的背景を理解し、いかに自分らしく過ごしていけるかを考え介入していく事が「緩和ケア」です。
緩和ケアを受けることで得られることは?
緩和ケアの基本について説明してきましたが、緩和ケアを受けることで得られる効果をまとめていきます。
早い段階から、がんとの向き合い方について考えられる
がんと言われると、驚いたり生命に直結すると考えられるため、不安でいっぱいです。
早期より緩和ケアチームと関わることで、がんに対しての正しい情報が得られやすくなり、早期の受容ができたり、治療に前向き取り組むことができると考えられます。
不安を相談できる相手が増える
病気に対して日本では、公にしにくい、隠した方がいいものとして扱われる傾向にあるため、人に相談しにくいという思いがあります。患者本人や家族以外にも相談できる場所があることは、生活をする上での安心要素になります。
早期に異常を発見しやすい
不安の相談ができる場所があることで、異常の早期発見につながります。不安なことを、そのまま抱えずに発信できることで、ケアする側も症状の発見や評価がしやすくなります。
近年の医療業界は、医師主体の治療から患者が治療決定をする時代へと変化しています。不安や異常を自ら伝えることで、治療を受ける側も治療について理解していくことに繋がると思います。
チームで支えてくれるため、安心して療養できる
緩和ケアチームには医師、看護師だけでなく、薬剤師・リハビリスタッフ・栄養士、臨床心理士、ソーシャルワーカー、ボランティアなど様々業種がいます。支援体制が整っていることで、全面的なフォローが可能となり、少しでも安心して過ごす事ができます。
先を見据えた過ごし方ができる
がんと向き合う上では、現在の治療だけでなく、先のことも考えておく必要があります。
今後の治療をどうしたいか、どこまで治療したいか、どこで療養をしたいかなど、現時点でどうしたいかの意思表示をするという事です。この事柄を考えることで、「今」どうしたいかが見えくるかもしれません。
明るい未来は考えたいけど、万が一の事は考えられないとは思いますが、あくまで「念の為」です。緩和ケアチームと関わっていると何度か話が出てきて、自然と考える機会があると思います。
その意思を、家族や緩和ケアチームに伝えていると、療養先の確保や調整がスムーズになりやすいです。
緩和ケア病棟について
緩和ケア病棟は今では多くの病院に設置されています。
がん終末期の療養先ではありますが、実際に働いて理解したことがあります。
- 苦しいを耐える場所ではない事
- 患者・家族に合わせたケアが提供されている事
- 患者のやりたいことを叶えることができるかもしれない場所
- 患者・家族が最期を受け入れることができるよう支援体制がある
- 最期=悲しいだけでなく、本人や家族のその後も考えられている
私自身働くまでは、難しくて、悲しくて辛い場所というイメージでした。
確かに最期を迎えるという辛い場所ではありますが、患者・家族との関わりと通して、その方々を理解する場所でした。
患者本人には、苦痛を軽減し、その人らしく過ごすことを第一に支援していきます。
家族には、気持ちにより添い、良い時間を過ごせるように介入していきます。
そうすることで、悲しいだけではなく、安心して安らかな時間を提供することができます。
緩和ケア病棟は、患者・家族が安心してその時やその後を歩むのに必要な場所だと思います。
まとめ
緩和ケアは
- がんと診断された時から介入するのが望ましい
- 患者だけでなく家族も対象
- 支援体制が整っていれば安心して療養することができる
- 将来について考える機会となる
- 緩和ケア病棟は最後の時期だけでなく、患者・家族の今、その後を支えるケアが提供されている
暗いというマイナスイメージではなく、向き合い方次第で《暖かいケア》と捉えることができます。
治療の行手がない段階ではなく、早い段階から介入できることで、身体的・精神的な負担が軽減され、少しでも安心して療養・生活をすることに繋がります。
今は緩和ケアの現場を離れてはいますが、緩和ケアでの経験はずっと心に残っています。
良い体験も、辛い体験もたくさんしましたが、看護師として大事なものは何かを考える機会となりました。
今回は、緩和ケアの基礎についてまとめみました。
少しでも参考になっていると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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